確かに・・・研究型美術館と謳いながら見せ物は江戸期の貔貅像1点のみ 他は参考資料の本数冊と近代模造彫物数点を除けば 全てパネル展示のみ。
しかしながら たかが入場料がワンコイン=500円にても 「ただのパネル展ではない感じ」・・・を いかに達成でき得ようか? ・・・が研究型美術館としての 初の試みの挑戦課題となった。
見応え というものは パネルの数量だけでは達し得ない ところもあるから・・・
むしろ ① パネルでなければ見せることができない画像 また
② 比較画像でなければ容易に理解できない
それら画像の収集と 比較画像のレイアウト=展示手法にあると見てよい! 即ち
A: 盗難にあった貔貅像や御神燈と 献納済みのそれら再刻復元像の比較
B: ワシントン条約で保護中の生きた雪豹や剥製の会場展示が不能につき
貔貅の原型である雪豹と貔貅像との画像比較
雪豹と古文書掲載の豹柄の貔貅図との画像比較
C: 今では見ることが出来ない 製作途上の再刻貔貅像
D: 今では見ることが出来ない 山を登る再刻貔貅像
E: 今では見ることが出来ない 3.11震災で一部崩落の陰陽石の旧姿
F: 取り外して展示することの出来ない社殿の高見にある葵紋や壁や梁の彫物像の表示画像
G: 取り外して展示することの出来ない碑文・棟札
H: 中国の野外に展示される大きく重い石製の貔貅モニュメント
以上が パネル展にならざるを得ない パネル展たる所以であります。
むろん 賢き観覧者と開催者の見識に基づく配慮に拠らねば 開催あたわぬパネル展・・・となった次第であります。
むろん 短時間にパネル画像のレイアウトに工夫を凝らしてくだされた 田村さんほか文成社の手馴れたパネル製作技量に負うところ実に多く 誠に感謝に耐えません。
なお展覧会場中央部は 展示パネルを見ながら講演会・研究会議・市民勉強会ができる設営にしております。
これも研究型ミニ美術館の新しいコンセプトの一つで、
単なる研究発表の展示ではなく、多くの研究者や市民が積極的に参加できる活動形態を成しています。
私の知る限り (展示会場とは別の会議室で行われる例はありますが・・・)かような美術館はありません。
むろん市民参加の学術研究の場を造るだけでなく、
音楽家から 展示会に合わせたテーマで 会場にて演奏会を開催に積極的なアーチストもおりますので
さらに多目的なる発表活動の場にしていこうと計画中です。
東洋研究美術館
開館準備室 柳澤 宗夫